Colum西野弘の時々刻々

第15回 東日本大震災と最近の出来事が教えてくれた今後の顧客マネジメント2011年06月21日

東日本大震災より3ヶ月余が経ちました。改めまして、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、震災にあわれ現在もその復興に向けて尽力されている皆様にお見舞いを申し上げます。

社会が本格的なネット社会に

最近の中東での民主化運動や米国政府の機密情報の漏洩、そして日本の震災で共通しているのが、ICTの活用がそれぞれのことに非常に大きく影響している点です。

情報通信の発達が、我々の社会を大きく変えていくものであるのは15年前より考えとしてはありましたが、最近の色々な出来事はそれを証明していると感じております。そしてそれは弊社も深く関わる、マネジメントや人財育成を大きく進化させるものでもあるように思います。
その進化のいくつかの事例を挙げましょう。

1.中東での民主化では、民衆側の反政府運動がグーグルやtwitter、facebookなどを活用して政権を転覆したり、政策を大きく変えた事実がありました。

2.米国政府の重要な機密情報がウィキリークスにより漏えいして、それがネットによりあっという間に世界中に知れ渡った事実がありました。

3.東日本大震災発生後も国内でSNSなどが活躍すると共に、あっという間に世界にもそのニュースが、テレビだけでなくWebやソーシャルメディアによって知れ渡った事実がありました。

皆さん如何でしょう。この一連の出来事は、我々の政治、企業、社会活動が正に「ネット化」しているということではないでしょうか。

余談ですが、日本のメディアは内規により福島第一原発の20キロ圏内では取材をほとんど行なっていませんが、海外のメディアはどんどん危険区域にも取材に訪れています。(どちらにジャーナリズム魂があるかは別として)海外在住者のほうが日本の状況を理解している事実も明らかになり、事実、私も海外の友人からのメールや電話から、彼らが瞬時に非常に詳細な情報を得ていることがわかりました。
残念ながら原発については日本側の不確実な情報より、海外のほうが冷静で正確な情報を提供できているようにも思います。

「ネット」は、これまでのテレビなどのネットワークや電話とは違い、場所と時空を選ばずに、個人がメディア保有し、少ない負担で参加が出来る社会です。
自分自身の過去の講演資料を見ると、1998年、日本でもYahooがサービスを始めた時代に、未来のネット社会のことを同様に予測しておりました。ちょうど10数年で現実にそれが起こり、その傾向は、益々進むと思われます。

この大きなネット化社会への進化の中で、当然、顧客コンタクトセンターの役割や手法などが大きく変化することは間違いありません。

ただし、日本では、まだまだコンタクトセンターとSNSやWebとの連携などがしっかり出来ている組織が多いとはいえません。

パノプティコン(全展望監視システム)社会から逆パノプティコン社会へ

今後のネット社会が顧客とどのように関係を維持向上し、拡大していくかは、全く新しい発想に切り替えていくことが必要だと思います。ひとつのネット社会への進化の例を書きましょう。

ハーバード大学のジョン・キム教授の講義で「逆パノプティコン社会」の考え方があります。パノプティコンは、もともと18世紀の英国の刑務所運用モデルで、刑務所の中心に看守のタワーを置き、その周りに監房を配置して看守からしか全体が見渡せない監視システムです。監房からは看守が見えません。つまり、全ての情報は社会の中心である政府やメディア。企業などが持ち、中心側が何をどのように出すかもコントロール監視した時代です。

ところが、この長らく続いた社会がネット社会になり、民衆のネット活用が政権や生活を変えていきます。つまり、刑務所で言えば監房側の一般社会が看守(政府や企業)の発表や行動を監視したり、意見参加したりが進む「逆パノプティコン」社会になるのです。

今後の顧客マネジメントでは全ての顧客接点でこの逆転現象に対応したモデルが求められると思います。つまり、あらゆる組織はますますその行動や情報が社会一般にさらされる事になります。

現在の日本の政府や企業は、国民が大事、顧客が大事と言ってはいるものの、その実は自分中心主義であり、行動上、そのような「志向」は認められても、真にその「視点」をしっかり持ち、オペレーションまでを行なえているところは少ないと感じております。

ましてや顧客コンタクトの3年後5年後のネット社会対応の未来形まで視野に入れて検討している組織となりますと、私の知る限りではほとんどありません。

これを読んで頂いた方は、是非、自分の所属する組織の3~5年後のグランドデザインがあるかを考えてみて下さい。まだまだセンターの多地点化ですとか、ICTシステムの入れ替えなどの計画が中心になっていませんでしょうか。

目の前の動きは正に津波のように押し寄せます。私は過去の10年間より今後の5年間の方が大きな変化・進化が起きるのではと考えています。
その意味では、今回の大震災で失った大きな犠牲を無駄にしないためにも、我々は、目の前の事実と未来のために何をすべきかを今一度考えねばならないと思うのです。

弊社としても、今年の後半に社会の大きなうねりを反映したCOPCの新規格のリリースを踏まえ、大きな川の流れを見失うことなく、COPC自身の進化に対応していく事が求められています。多様なメディアも含めつつ、顧客マネジメントの将来について、じっくりと考えてまいりますので、今後ともご支援のほど、宜しくお願い申し上げます。

西野弘株式会社プロシード 代表取締役社長

平成3年 株式会社プロシードを設立。代表取締役に就任し現在に至る。総務省次世代携帯ビジネスモデル研究会会員、沖縄県産業復興審議会委員、スウェーデン王国王立サムハル社会福祉事業団日本代表、2001年未来基金会長(ビルゲイツ印税基金)を務める。

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