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トランスコスモス株式会社

顧客満足の原点を極める
―受注者から発注者の視点へ

Company Profile

1966年、情報処理アウトソーシングビジネスの先駆けとして事業を開始、1985年にトランスコスモス株式会社を設立。「マーケティングチェーンマネジメントカンパニー」を企業スローガンに掲げ、ネットからリアルまで企業と消費者をつなぐ全チャネルにおいて、グローバルにITアウトソーシングサービスを提供している。
主力事業である「コールセンターサービス」では、お客様企業にとって重要な顧客接点の場であるさまざまな問い合わせ窓口/情報発信業務を、お客様企業に代わって担っている。札幌から沖縄まで全国に拠点を構え、最適なコストで高品質なコールセンターを提供している。
●設立 1985年6月
●資本金 290億6,596万円 (2007年3月現在)
●従業員数 本体:7,520名、グループ10,356名(2007年3月現在)

Key Topics

  • 顧客満足の原点を極める ―受注者から発注者の視点へ

自分の職場では当たり前と思うサービスが、他の業界では結構できてないことに驚いた

高松 尚子 氏
トランスコスモス株式会社
首都圏第二サービス本部
マーケティングチェーンマネジメントセンター駒込
クオリティマネージャー
 
(同席者)
柏原 伊勢雄 様
トランスコスモス株式会社
コールセンターサービス総括 首都圏第二サービス本部
マーケティングチェーンマネジメントセンター駒込
  
今となっては常識のサービスクオリティへの視点だが、前職の医療法人からコールセンター業界に転職しようとした際に、強く感じられたことだったという。

医療法人で育んだもの

大阪生まれ、大阪育ち。仕事柄、話ことばはいつも標準語。だが、「コールの相手によっては、臨機応変に対応します」とほんのり大阪弁をにじませて笑う。
前職では医療法人で事務や秘書などを10年。受付をはじめ、会計・請求など、時には患者の家まで訪問するなど、常に顧客に向き合う仕事を経験してきた。病院での経験が、自分の財産として改めて自覚されたのは、初めての転職の時だった。
業界が違っても求められているものは同じはず。ところが他では意外とできていないことがわかった。病院では患者の満足度を高めるため、組織全体で取り組むことが普通だった。そうした現場で培った「顧客の満足」への思いと確信、患者さんや家族の人たちと日々接してきた豊かな経験が、カスタマーサービスの世 界に入る原点となった。

エンジニアへの転職

「困っているひとを助けて、満足してもらうことがうれしい」という病院の日常から離れ、初めて転職を決意させたのは、「パソコンを使えるようになりたい」という思いだった。
「齢もちょうど30に差し掛かり、転機との自覚」もあった。転職活動で初めて他の業界の空気に触れ、前職での経験や育んだ感性が思いのほか活かせると確信したことも、新しい仕事へ背中を押した。
2001年にトランスコスモス株式会社に入社。配属された当時の大阪センター (現 関西サービス本部マーケティングチェーンマネジメントセンター大阪第一)でのスタートは、某大手ソフトウェアメーカーの「サポートエンジニア」。転職時の第一志望はインストラクターだったので、IT関連の資格にも挑戦して既に取得済みだった。仕事はインストラクターそのものではなかったが、「パソコンが使え、エンジニアとして技術を身に付け、お客様に喜んでもらえる仕事で満足だった」と高松氏。

品質管理という仕事

入社した2001年は、おりしも同社が会社ロゴに「people & technology」というキャッチフレーズを併記した年。つまり「経験豊富な人材と最新技術の両輪を通したアウトソーシングビジネス」を事業コンセプトとして旗幟鮮明にし、同社がミレニアムをスタートさせた年と時を同じくしての出発だった。
「サポートエンジニア」の仕事を始めて9ヶ月余り。新しい仕事が回ってきた。仕事はQM担当(品質管理)。当時は品質管理も過渡期を迎えており、ローテクからハイテクに技術環境もステージを変える途上だった。新しい技術に通じているQMが求められ、その資質を見込こまれての抜擢だった。

COPC-2000®の再体験

高松氏は、COPC-2000®CSP規格・登録コーディネータ(以下、登録コーディネータ)を2007年5月に取得。同社はすでにCOPC-2000®の認証経験があり、社内の勉強会で概要は学んでいた。しかし、「きちんと理解するため、マネジメントにも是非取り入れたいと思い改めて参加した」と高松氏。
 同社の認証取得は2002年。現在は認証更新を行っていないが、早くからCOPC-2000®を知るユーザ企業の1社だ。グローバル化の中、発注者側の 意向でCOPC-2000®を共通の知識体系にするとの方針もあり、現在では登録コーディネータの取得者は多い。またそのマネジメントが評価され、「セールスマーケティング系サービスの受注にもつながっている」という。
登録コーディネータ研修の印象は「少し難しかった」と高松氏。「確かにCUIKA(COPC-2000®の数値管理実践のための要求項目。Collect、Usable、 Integrity、Knowledgeable、Actionの頭文字からなる)の考え方は、コールセンターの改善手法として納得ができる」という反面、「研修自体が認証範囲を網羅するように作られているため、広範囲にわたる内容となっている。DATAをためてC、U、Aを見て改善したいなどの個別のニーズも出てくるので、分野別の対応を取り入れてもらえれば」と話す。
ただ「モニタリングを重視していることに、違和感はなかった」という。モニタリングは、サービスによって様々。またコミュニケーターの評価を顧客の声とは別の尺度で見極める必要があり、非常に参考になる内容だったという。

COPCとシックスシグマは補完関係にある

実は、登録コーディネータ研修の受講当時、高松氏はQMの仕事で課題をかかえていた。仕事の中で数字を見る際、「なぜ数字が悪いか」という原因を見出そうとしても、「裏づけある納得の行く結論が出せない」というのが悩みだった。そのため勉強もし、いろいろ調べてもみた。結果、たどり着いたのが「統計」の世界だった。その時期が、たまたま登録コーディネータ研修の時と重なった。「研修会場でシックスシグマ研修のチラシを見て、その場で上司に電話して了解を取り、すぐに申し込んだ」と高松氏は笑う。
巷にシックスシグマ研修は多いが、「工場など、ものづくりの分野を対象としたものがほとんどで、ましてコールセンター向けのものはなかった」という。
シックスシグマ研修は、「学びたいとき、使いたいとき、まさにそういう段階で受けられた。活用度は高い」という。もちろんその活用の背景には、すでに社内にCOPC-2000®の実践に基づくPDCAの文化が浸透しているという環境があった。
「シックスシグマは、COPC-2000®のPDCAで捉えられない部分を補完している。問題点をクリアに分析してつかむのにもってこいの手法」という。COPC-2000®とシックスシグマという手法は補完関係にあるということだ。また、重要なのは、マネジメントの組織体質があってはじめてツールや手法が使えるということだ。COPC-2000®というマネジメントによって基本的なPDCAを回せる組織体質を浸透させた上で、現場で様々に出てくる課題を捉えて、原因究明と解決施策を重ねていく。その強力な手法やツールを学ぶのが「シックスシグマ研修」というわけだ。
 

発注者の立場で考える

「当社は風通しのいい職場。思っていることや考えていることが伝わりやすい」と高松氏。今は業務担当別に4人いるQMを統括する立場で責任も大きいがやり がいもある。この先やりたいことは「当面は、さらに顧客満足を追求していきたい」との答え。今は発注者から受託している立場なので、「発注者からの自社の顧客満足度も気になる。こちらも改善・向上させたい」という。またその先には、「将来は発注者側の立場で、自分自身が納得いくコールセンターを作り上げたい」という新たな志向もある。
同席した上司から見た高松氏の強みは、「コーチングに強い。経験を踏まえてしっかり行える。高松から指摘されたなら、皆が素直に聞き改善する」という。弱みは「少々頑固なところ」と上司からの指摘に高松氏は笑う。

今後の課題と展望

ユーザ顧客満足のあくなき追求、その先にある発注者の視点など、複数の利害関係者に向けられた高松氏の視線は、そのまま「サービスマネジメント」に向き合う基本的な姿勢につながる。これからの企業競争力の源泉が「サービスマネジメントのクオリティ」といわれる中、その「クオリティ」にどうアプローチするか が、今後あらゆる業界の事業者に問われている。誰もが開拓者であるほかはない時代だが、その大事なヒントはあらゆる業界の「現場」に横たわっている。
高松氏の場合は、医療という現場で培った「顧客満足への思いと経験」が原点だ。その原点を胸に、今の仕事の中で確実に座標軸を広げている。こうした貴重な人材を活かし育むには、組織のマネジメント風土のあり方が問われる。トランスコスモス社は、風通しが良い社風に加え、COPC-2000®などの実践でマネジメントの風土を確実に育んできた。そうした風土があってこそ、高松氏のような様々な経験を持った人材を活かせる。またサービス分野におけるシックス シグマ活用などの試行ができ、成果も生み出せるはずだ。そして今まさに同社は顧客を原点に、受発注者意識の有り方を塗り替え、組織を変え、またビジネスを変えていきつつある。
「サービスマネジメントの世紀」に向けて、高松氏をはじめとするフロントランナー、そしてトランスコスモス社の軌跡が今後どのような形を描いていくか楽しみだ。

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