顧客中心主義の視点からのチャネル戦略 その4(全4回)

 2018.10.30  五味康一郎

COPC CXコンサルタントのコラムから

COPCコンサルタントのコラム紹介「顧客中心主義の視点からのチャネル戦略」シリーズ4回目、最終回は、「顧客体験におけるギャップの特定と改善活動」についてお伝えします。

このコラムは全4回のシリーズで、今回までの3回は以下のPart1-3を見てきました。

チャネル戦略を考えるうえでは4つの本質的な質問があります。このシリーズでは、その4つの質問についての検討を進めていきます:

Part 1: 自社の提供する顧客対応チャネルとお客様が利用しているチャネル

Part 2: お客様の求めるチャネルとそこで実現できることが期待される機能

Part 3: 現在提供しているチャネルでの顧客体験

Part 4: 顧客体験におけるギャップの特定と改善活動

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Part 4: 顧客体験におけるギャップと改善活動

チャネル戦略への顧客視点からのアプローチにおいての最後の(そして最も重要な)ステップは、ギャップの特定と是正アクションの実施です。このステップは、今までの3つのステップにおいて集めたインプット - サービスが提供されているチャネルと利用されているチャネル、顧客が求めるチャネルと機能、現状の顧客による評価 - のすべてが利用され活かされます。

ギャップの特定

たくさんの情報がありますね。どうすればこれらの情報を読みやすく、理解しやすく、利用しやすいフォーマットに整理することができるでしょう。

ここで再度、チャネルマトリックスの登場です。ただし、今度はチャネルマトリックスに、Part2およびPart3で集めてきた、自分達のお客様の期待や要求、現在のチャネルごとのサービスの受け入れられ方の情報を追加してみます。この情報から、チャネルの業務量がなぜ今の状況なのか、ギャップがどこに存在するのか、どんな活動が必要なのかといった情報が読み取れてきます。

copc blog
図1:とるべき活動を特定するチャネルマトリックス

 図1では、カラーコードにより、最重要なパフォーマンス改善機会を分かり易く表示していいます。(赤)提供を検討すべき新たなチャネルは(紫)、中程度の改善機会は(黄)で表示しています。更新されたチャネルマトリっクスでは、目標を達成している優秀なチャネル(緑)と共に、サービス停止を検討すべきチャネル(白)も特定します。

これらのカラーコードは、ここまでの(Part1からPart3までの)活動で実施してきた分析の結果です。例えば、顧客アンケート調査やフォーカスグループからは、お客様は電子メールを使って購入することに興味がないということが分かりました。その結果をうけ、電子メールと購入の交わりのセルには、「要望はない」と記載されています。また、お客様はオンラインやウェブを通じての顧客サポートを欲ししていますが、そのサービス提供においては課題があり、そのため活用度が低い状態にあり電話によるサービス業務の増加につながっているという内容がそれぞれのセルの記載に表されています。

それでは図1から読み取れる実施すべきアクションは何でしょうか?まずは、重視されるべきパフォーマンス改善のエリアについて見てみましょう。「チャット」に注目すべきは明らかです。コンタクトタイプを問わず、実施上の課題があります。特にテクニカルサポートやサービスにおいては、コンタクト量の多くを占めているので、重大な問題となっています。実施上の課題がクリアになればさらに業務量が増えることも想定できます。コンタクトタイプの視点からは、「サービス」には、複数のチャネルにおいて実施上の課題があることが分かります。

新たなチャネルの提供についてはどうでしょう。「モバイルアプリ」は変化をもたらすチャンスのあるチャネルであると言えるでしょう。お客さまは(請求/回収においては会社側も)、様々なコンタクトタイプにおいて、アプリが提供されることを望んでいます。

さらなる分析からは、これ以上のギャップや改善機会が見つかることと思いますが、ここまでの考察のみでも改善アクションを特定する際にチャネルマトリックスに戻ることの効用が確認できます。

改善アクション

最後に、改善アクションを実施する時が来ました。このステップは組織により異なる点はありますが、マネジメントの承認を得る、予算を確保する、改善機会をアクションが明確になったロードマップに変換するといった共通部分があるので、いくつかの留意すべき点が確認しましょう。

  • 他に共通するポイントではありますが、チャネル戦略の実行も、そのプランの目的が明確に伝達されたときに成功の確率は高まります。期待される成果は?顧客にとってのメリットは?会社にとってのメリットは?をもう一度明確にしましょう。
  • トップマネジメントの合意は得られていますか?伝えたいストーリーは説得すべき人に響くようにできていますか?この施策を進める推進者で、成果の責任を負うことのできる個人はいますか?
  • チャネル戦略の施策についてその成功(失敗)はどのように測るか決まっていますか?
  • チャネル戦略による変革は組織の多くの部門に影響を与えます。したがってトップマネジメントのみではなく、影響を受けるすべての部門のマネジメントが合意し、参画することが重要です。関連する組織のすべて部門が、改善アクションの「What(何を)」、「Why(なぜ)」、「How(どうやって)」を理解することが必要です。何が変わらなければならないのか?なぜ変わらなければならないのか?そして最後に、その変革が現実のものとなるためには、関連する各部門はどう関わる必要があるのか?がきちんと共有されることが必要です。

このコラムを楽しんでいただけたら幸いです。不明点や、COPCがこの活動をどのようにサポートするかにご興味がある方からのお問い合わせをお待ちしております。 

COPCのコンサルタントによる4回シリーズのコラム「顧客中心主義の視点からのチャネル戦略」は今回で終了です。

日本においてパイロットで実施したカスタマージャーニーマッピング研修でも、今回のシリーズであったような活動ステップをケーススタディ形式で行いました。参加者の方々からは、興味深かった、実践的だった、提供されたツールは自分の組織でも活用できそうだ、とご好評をいただきました。

ただ、日本ではまだまだ、コンタクトセンターはコンタクトセンターのみをスコープとし、電話、電子メール、(最近またボットを含めたチャット対応を行う組織が増えてきたようですが)のチャネルの責任しか持たず、ウェブやモバイルアプリのチャネルは別部門が管理、店舗での対面チャネルも別部門の責任下ということで、顧客接点の全体を見渡す組織がない状況です。

最近、自分の身にふりかかった好ましくないイベント(アメリカの空港での急なフライトキャンセルや妻の携帯が急に圏外となる事態)の度にCXという言葉が思い浮かびます。カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)やカスタマージャーニーという言葉が一時的な掛け声に終わらないように、消費者の立場からも切に願っている今日この頃です。

今回の英語の記事は以下になります。
https://www.copc.com/customer-centric-approach-to-channel-strategy-part-4/

 プロシードのCJM研修のご紹介はこちらになります。

 

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