「数値探索」 第3回…AHTその2

2019.03.22

指標」と「数値」を考察するコラムの第3回です。
前回は、AHTその1として、AHTと顧客満足度に関係はあるのか?と、どういったプロセスで対応するのかがAHTを決める、ということを書きました。今回は“AHTを設計する”ためのプロセスについて、触れたいと思います。

「数値探索」第1回はこちら
「数値探索」第2回はこちら

さて“AHT”とは何の指標でしょうか。計算式は「分子:通話時間、後処理時間、保留時間の合計。分母:全ての対応件数」です。すなわち、1件の案件にどのくらいの時間をかけたのか、を見る指標であり、見方を変えると、「どのような通話」、「どのような後処理」をしたのかを“時間”という軸で見る指標とも言えます。

ではこの中の「通話時間」を考えてみましょう。
通話時間は、問合せや注文など受電や架電する際の「案件」によって、おおよそ決まってきます。サポート系のインバウンドコールでは、基本的には「オープニングの名乗り」から始まり、「本人確認」や「要件確認」、「調査」「説明」「不明点確認」、と進み、「終話(クロージング)」で終わります。ここで挙げたものは例ですが、セールス系のインバウンドコール、またアウトバウンドコールにおいても、案件によって、基本的な内容に分類することができます。

【サポート系インバウンドコールの例】

kikuchi blog image march

この分類した各々において、どの程度時間がかかるのかを算出します。例えばオープニング名乗り。「お電話ありがとうございます。(センター名)(氏名)が承ります」では、何秒でしょうか。では本人確認ではどうでしょうか。
様々な問合せがあるため、1件1件ではばらつきがあるでしょう。しかし、週や月などの、ある程度の期間のデータが揃い、そのデータを“平均”すれば、その傾向が見えるようになります。まずは「基本の通話」を分類毎に設計し、その通話時間をおおよそ設定できるようになると良いでしょう。

もし“同じ案件を受けているはず”の個人毎の通話時間に“ばらつき”がある場合は、この分類したどこかに「弱点」があるはずです。よく耳にする「新人は“まだ慣れていない”から通話時間が長い」とは、要件確認や調査、説明が長いことが考えられます。それを“経験だから仕方がない”とするのは、本当に正しいでしょうか。経験で片づけるセンターの場合、通話時間は管理されておらず、「できるオペレーター」と「中々成長しないオペレーター」が存在する可能性があります。個人是正をするためには、設計した「基本の通話」と比較し、そのギャップを見つけることが近道と言えるでしょう。

次回は少し話を変えて、昨今話題になることが多い、「採用」に関する指標・数値ついて触れてみたいと思います。

Related Articles

関連記事

カスタマーエクスペリエンスのその先へ
貴社の顧客体験の悩みにお答えします