対面業務へのCOPCの適用

 2020.07.21  五味康一郎

コロナ禍の終息が見えない今、対面業務はできるだけ避けるべきものと考えられているかもしれません。
ただ、現時点でも、ここしばらくの未来でも、対面の形での人によるサービスを受ける場面はまだ残ってかと思います。銀行の窓口の対応、郵便局の窓口の対応、大きな病院での受付の対応、携帯電話サービス店での窓口の対応、いずれも対面以外のチャネルも用意されていますが、現時点では、まだ対面の対応が中心なのではないでしょうか。顧客体験(CX)をよくするという考え方の中では、お客様との接点のチャネルについては、その選択をお客様に任せるべきで、無理矢理に移行させるべきではないと考えられます。

COPCは顧客接点の業務を提供するチャネルを2つに分けて考えています。
ヒューマンアシステッドチャネル = 人が提供するサービス
デジタルアシステッドチャネル = 人を介さないサービス(デジタルサービス、セルフサービス)

ヒューマンアシステッドチャネルの業務には、インバウンドコール対応、電子メールの対応、有人チャットの対応等が含まれます。一方のデジタルアシステッドチャネルには、オンライン(モバイル)の商取引システム、オンライン(モバイル)バンキング、オンライン(モバイル)の情報提供システム(チャットボットを含む)があります。対面業務は、この分け方では、ヒューマンアシステッドチャネルの業務に入ります。

ヒューマンアシステッドチャネルのオペレーションでは、「機械と違い、人の対応は、応対する人によるバラつき(お客様の言っていることの理解のバラツキ、対応手順の理解のバラツキ、処理スピードのバラツキといった様々なもの)がでるので、それをどう制御するのか」というのがポイントの一つになってきます。このバラつきの制御とともに、業務運営の良しあしを、指標(数値)を使って管理するというのがCOPCの基本の考えです。パフォーマンス評価の領域を、サービス(スピードの視点)、クオリティ(正確性の視点)、コスト(効率性、生産性の視点)の3つに分類し測定・評価していきます。

パフォーマンス評価の3つの領域は、対面業務にもそのまま当てはまるように考えられます。先ほどの対面業務の例のうち、銀行の窓口での対応を例に考えてみましょう。(あまり15時前に銀行に行って窓口で対応をお願いする機会はないのですが。。。)銀行に入ると、まずチケットマシンがあり、そこで訪問した目的ごとの番号札を引きます。窓口に表示されている番号で自分の番が来たことを知り、窓口に行き処理をお願いします。場合によっては依頼をした段階で改めて札をもらい、呼び出しを待ちます。呼び出され再度窓口に行き、処理の完了を確認して帰る。コンタクトセンターに電話をかけ、つながるまで待ち、目的を伝え、保留され、再度お話をして目的の達成を確認し、電話を切る、という流れと同じですね。
応対の良しあしの評価ですが、サービス(来店から窓口に呼ばれるまでの待機の時間が許容内だったか)、クオリティ(対応に間違いがなかったか)、コスト(銀行側の視点で、1件の対応にどれだけ時間がかかったか)と、インバウンドコール対応を同じ考え方が応用できます。



対面業務は、ヒューマンアシステッドチャネルの業務の一つですが、他の業務と一つ違う点があります。それは、お客様とサービス提供者が物理的に同じ環境にいるということです。オープンキッチンのレストランのように、サービス提供の過程がすべてお客様に見えます。評価すべき要素もコンタクトセンターとは異なるものとなり、また多くなるのではないでしょうか。応対のクオリティの評価ですが、コンタクトセンターでは、応対をサイドバイサイドやリモートのモニタリングという手法で評価しますが、対面業務では、モニタリングのみでは十分な評価が得られないため、カスタマーエミュレーション(ミステリーショッパー等)といった手法と合わせて実施することが推奨されます。今後、対面業務での活用事例が増えるにつれ、より具体的な管理の手法がベストプラクティスやベンチマークとして共有されてくると思います。

対面業務の管理における困難な点は、コンタクトセンターと比較して、パフォーマンス数値の測定が挙げられます。電話に関する数値は、通話管理のシステムが導入されているフツウのコンタクトセンターであれば入手可能ですが、店舗で同様のレベルは数値の測定ができていないのが現状です。入店時にチケットを引いてもらえれば、入店者数や窓口やキャッシャーでサービスを受けるまでの時間も把握できますが、そのような環境の店舗のみではないかと思います。チケットシステムやピープルカウンター(Footfall Counter)が導入されていない環境、または導入することができない環境でどうするのかといった課題はあるかと思いますが、できるところから管理を始めていくという考え方で取り組んでいる組織が出てきています。




COPCでは、規格の読み替えが必要な業務に対しては「ガイド」作成し、ユーザーによるスムーズな提供を図っています。対面業務ガイドも用意されています。グローバルでは、銀行の窓口業務、携帯電話サービス店での窓口業務に適用された例があり、現在、ヨーロッパにて認証取得を目指して活動中の組織があります。CXの向上のためには、顧客に用意されたチャネルごとの対応が一貫しており、しかもお客様による希望、選択で、それら複数のチャネルを跨いだ対応が、継ぎ目なくできることが求められます。コンタクトセンターでは、よい体験が提供できているだけでは十分ではない状況となっています。

最後に、対面業務=人によるサービス という視点でお話をしてきましたが、店舗のオペレーション管理という視点では、デジタルアシステッドの業務もすでに活用されています。セルフレジはチェックアウトの業務の部分ではありますが、人を介さずに提供されるサービスです。さらに、中国の事例は以前からTV等で紹介されていましたが、日本でも高輪ゲートウェイ駅の、無人AI決済コンビニが稼働しました。目に見えない「サービス」を受け取るのではなく「商品」の受け渡しを伴う業務でも、デジタルアシステッドサービス化が進んできましたね(でも、言ってみれば道端にあるジュースの自動販売機もそうなんですけど)。

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