COPC 規格委員会 パリ会議

2019.05.08

4月15日、16日でパリにて実施されましたCOPC規格委員会に、COPCの日本ユーザーグループ(JUG)会長の富士ゼロックスサービスクリエイティブ社の鶴岡さんと一緒に参加して来ました。そこでの討議内容等を共有したいと思います。

COPC規格委員会は、以下の目的を持つ委員会であり、COPC規格の要求事項やその運用ルール等を決定する機関です。
・ ベストプラクティスの特定とその共有
・ COPC CX規格のスコープの決定
COPC CX規格やその認証プロセス関してのレビューやフィードバックの提供、およびそれらに対する変更要求の承認
COPC規格の活用の促進
COPC規格の新たな領域での提供の承認

そのメンバーには、COPC社のマネジメントも含まれていますが、COPCのユーザー企業や顧客コンタクトマネジメント領域での専門家が含まれています。メンバーシップは個人に対して与えられており、会社に対してのものではありません。勤務している会社が変わっても委員会メンバーであり続けているメンバーも多くいます。JUGも古くからこのCOPC規格委員会のメンバーです。歴代の日本ユーザー会議の会長が参加し、日本の現状を伝え、規格の今後に関しての検討の場ではその意見を1票として投じています。

委員会はできるだけグローバルな意見を取り入れたいという意向のもと運営を行っておりますが、北米や欧州以外の地域からは、日本以外には長く継続して参加するメンバーが出ていません。参加者は、初回はゲストの扱いで、討議への貢献や、継続参加の意思を確かめられ、正式なメンバーとして迎え入れられます。

通常年に2回の会議があり、COPCの本社のあるフロリダで会議が行われることが多いのですが、2年に1回程度、北米を離れ他の地域で実施するようにしています。今回は規格委員会のメンバーが2名いる、パリにて、メンバーの属する会社である、グローバルなカスタマーケアサービスプロバイダー「テレパフォーマンス社」のパリの事務所において会議を行いました。北米以外での実施の際には、若干、参加メンバーが少ないようで、今回は写真の8名と、議長のドンさんの計9名でした。

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今回の会議の主なトピックは以下の通りです。
1. COPC規格の活用状況
2. 日本ユーザーグループからの報告
3. サービスジャーニーの考え方
4. サブコミッティの活動について
内容を少しご紹介します。

COPC規格の活用状況
規格の活用状況は、毎回トピックに含まれるのですが、世界の各地域での認証組織の推移、認証推進リーダー数、研修実施回数等の報告がありました。日本は引き続き、世界で一番、認証推進リーダーの数が多い地域となっています。今後はこのトピックの中で、グローバルでのCOPCマーケティング活動の状況もレビューしていくことになりました。

日本ユーザーグループからの報告
日本ユーザーグループからの報告では、日本において長年にわたってCOPC認証を継続している組織が多いこと、またその組織に対しての表彰の場を、年次で開催しているプロシードのセミナーで行っていることを伝えました。

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JUGの活動については、他地域での活動のモデルにしたいと高く評価されています。今回の報告では、メンバー企業の次世代のセンターマネジメントを育成する目的で、交流会を実施し、お互いの取組みやベストプラクティスの共有を始めていること等を伝えました。そして、交流会おけるトピックや発表事例のサマリについて報告しました。海外では、ユーザー企業が地理的に近いところに固まっていることが少ないため、実際に集まったり、メンバー企業で相互のセンターを訪問したりといったことが困難なので、なかなか実現はできないかと思いますが、興味深く聞いてもらいました。

また、実際の活用事例として、鶴岡さんの組織でのCOPC活用による効果についての実例を報告しました。

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サービスジャーニーの考え方
サービスジャーニーの考え方というテーマでは、顧客体験を測定する指標について、今後COPC規格のリリース6.1以降で紹介されるコンセプトの確認をしました。「サービスジャーニー」とは聞き慣れない言葉かと思いますが、もうすぐリリース予定のCOPC CX規格の最新リリースである6.1において使用される言葉です。カスタマージャーニーという言葉は、通常、顧客と企業との関係のライフサイクルすべての含むジャーニーを想定して使われることが多いのですが、COPC規格の主な対象領域は、「顧客が企業を知る」といったマーケティング領域の活動ではなく、企業との付き合いの始まった顧客に対するサービスの提供領域です。ひとつの要求(リクエスト)を持った顧客の、その要求が叶えられるまで(もしくは叶えられずに終わるまで)の起点から終点までのジャーニーをサービスジャーニーと呼び、そのトータルでの体験評価をして行こうという考えになります。
COPC規格では、現在のリリース6.0でも顧客との接点が複数のチャネルにまたがる場合、トータルでの体験を測定することを求めていますが、「複数のチャネルにまたがる」という部分にフォーカスされてしまい、多くの組織で、「自らの管理の及ぶ範囲では複数のチャネルでの顧客対応を行っていない」という理由で適用されていません。そこで、複数チャネルを活用したかどうかにはフォーカスせずに、一つ一つのやり取り(トランザクション)の評価だけでなく、要求が叶えられるまでの一連のコンタクトについての総合的な評価をすることとしました。この評価においては、カスタマーエフォート指標等の利用が想定されています。

サブコミッティの活動
サブコミッティの活動は、前回の規格委員会で検討されたトピックでした。
委員会メンバーから、どちらかというと受け身になりがちな、規格の変更内容の検討のみではなく、COPC規格のこれからについての積極的な活動にも参加していきたいという声が上がり、いくつかのサブコミッティ活動が候補として挙げられました。そのなかでトレンドサブコミッティとマーケティングサブコミッティの2つのサブコミッティが今後活動を開始していくことになりました。日本はそのなかでトレンドサブコミッティに入りました。こちらの活動は、CXや顧客コンタクト領域での先行事例、他の規格、団体の活動、テクノロジー動向を継続してウォッチして、COPCが先行して取り組むべきことや、他から取り込むべきことがないか等を継続して検討してくことがその活動になります。一方のマーケティングサブコミッティは、COPCの認知度を高めるための様々な活動(会議やセミナー等への参加、講演機会の拡大等)を促進してくことを目的としています。

このようなトピックを含め、意義のある会議でした。今後も日本のユーザーを代表してCOPCを活用するだけでなく、もっと良くしていく、もっと広めていく活動に貢献できるようプロシードも努力して行きたいと思います。

また、COPCの動向について皆さんに発信していきます。

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