サービスジャーニーと指標

 2019.06.14  株式会社プロシード

前回、ご紹介したCOPC規格委員会についてのコラムでもお伝えしましたが、この度日本語版は20194月をもって公開されましたCOPC CX規格の最新版、リリース6.1でも、「サービスジャーニー」という言葉とともに、測定・管理すべき指標が加えられています。今回は、そのサービスジャーニーと指標についてお伝えしたいと思います。

サービスジャーニーとは
「サービスジャーニー」とは聞き慣れない言葉かと思いますが、COPCが今回のCX規格6.1版から使用している言葉です。ひとつの要求(リクエスト)を持った顧客の、その要求が叶えられるまで(もしくは叶えられずに終わるまで)の起点から終点までのジャーニーをサービスジャーニーと呼んでいます。顧客と企業のコンタクトのライフサイクルを示すことの多い「カスタマージャーニー」に対し、少し狭い活動を指す概念になります。

以下の図は顧客と企業とのコンタクトのライフサイクルの例です。

journey 1

「購入と獲得」の活動では、顧客は、ある商品やサービスを購入する、または、会員として登録・入会するために、その企業や、製品、サービスについて詳しく知るためのリサーチを行います。対象の会社のウェブサイトで検索し、情報を入手することもあれば、比較サイト、まとめサイト等を見ることもあるでしょう。周りの人の口コミを重視することもあるでしょう。このステージでのサービスジャーニーは、「購入、入会を決定するための情報を入手する」ことであり、場合によっては「購入、入会する」ところまで進むこともあると思います。この過程では、対象となる企業のウェブサイト、情報を入手するためにコンタクトしたコンタクトセンター、または店舗での対面の対応が、顧客体験を形成し、決定します。

顧客体験を測定するための指標としてCOPCでは「顧客満足度」をタッチポイントごとに測定することを求めています。この場合では、「コールセンターの対応はどうでしたか」、「店舗の対応はどうでしたか」というチャネルごとのコンタクトの評価であり、リリース6.0からはノンアシステッドチャネルであるウェブの情報提供機能はどうでしたかという問いに対しての評価も加わっています。

リリース6.1から加えて求めるのは、「購入、入会を決定するための情報入手」はどうでしたか、スムーズにストレスなくできましたか」という、サービスジャーニーに対する評価です。

図の例では、次のステージは、「請求から支払」の活動となります。購入する商品やサービスによっては、購入時点で支払いも完了するものもあるかと思いますが、継続的に利用する会員サービス、サブスクリプションサービス等では、月払いのように継続的に支払いを行うものもあります。通常は、商品の受け取りやサービスの初回の受領もこのステージで発生します。そのため、このステージでのサービスジャーニーには、「商品をセットアップし使用可能にする」であったり、「請求書の内容や正確さの確認をする」、「自分にとっての最適な支払方法を決め、支払いを実行する」等が含まれます。いずれもお客様にとっては、「コンタクトしなくて済む」に越したことはないですね。

ここでも、ウェブ上の情報をセルフで探してもらうこともあれば、コンタクトセンターや店舗でのコンタクトにより顧客体験が形成されます。

それ以後のステージは、「所有と利用」、「解約と退会」としています。「所有と利用」のサービスジャーニーの例には、「登録してある住所情報を変更する」や「オプションとしてのXXサービスを追加する」といった情報メンテナンスや追加注文であったり、「購入した商品の使い方を理解したい」や「商品が故障しているようなので使えるようにしたい」といったテクニカルサポートの要求等があります。「解約と退会」のステージでは、有効期限のある会員サービスであれば「会員ステータスの更新する」、「上位のステータスに変更する」、「解約・退会する」というのがサービスジャーニーとなります。

journey 2

どのステージのサービスジャーニーの例においても、コンタクトすることなくセルフサービスで終わることや、1回のコンタクトで終わることもあれば、複数の手段を使って初めて実現出来ることもあるかと思います。個々のコンタクトでの対応の評価だけでなく、サービスジャーニーの要求を満たすための一連の活動がどれだけスムーズだったかを理解するのは、顧客体験を良くしていくためには重要な活動となります。

顧客体験の指標
COPC規格では、顧客体験の指標としては、個々のコンタクトごとの評価と、サービスジャーニーの評価を測定・管理することが求められますが、それぞれ、どのような指標や測定の仕方を選択しなければならないと限定はしていません。限定はしていませんが、このような測定が望ましいのではないかという見解は持っています。

顧客コンタクトごとの評価   顧客満足度(CSAT

サービスジャーニー     ➡ カスタマーエフォートスコア(CES

ブランド・顧客ロイヤリティ ➡ ネットプロモータースコア(NPS

journey 3

皆さんもよく聞くNPSは、「ある会社、商品、サービス等を他の人にどの程度勧めますか」という質問への回答を11段階で評価してもらうもので、原則的には顧客ロイヤリティを測るものとなります。トランザクションNPSという指標もありますが、本来は特になにかのアクションに対する評価ではなく、会社のイメージや製品の価格設定、その人がそれまで体験したその会社、商品、サービスに対する総合的な評価になります。したがって、顧客との接点の責任を持つ部門が、自らの責任範囲において、どうやって顧客体験を良くしていこうかということを検討する目的には、必ずしもマッチするものではありません。

サービスジャーニーの評価に適していると考えられるCESは、以下のような設問を使うことを想定しています。

以下の問いに対して、どのくらい合意できるかを回答してください。
「会社は、私が問題を解決するのを楽にさせてくれた。」
Company made it easy for me to handle my issue.

1: 強く否定する
2: 否定する
3: やや否定する
4: 同意も否定もしない
5: やや同意する
6: 同意する
7: 強く同意する
*7月10日訂正

お客様がそのリクエストを叶えることがどれだけスムーズに、ストレスなく、楽にできたのかを聞いています。

顧客サービスは、それだけで、企業・商品・サービスを選択させることまではできないが、手間のかからない、ストレスのない、スムーズな体験を提供することで、顧客の離反を防ぐことにつながるという考えのもと、CESを活用する企業は増えてきています。ベンチマークも、まだこれからの部分はあるかと思いますが、
ガートナー社の調査では、上記7段階の評価で、平均値6、6と7をあわせた割合で70%以上を
目標とすべきとされているようです。

COPCが当初から測定・管理を求めていたのが、顧客コンタクト活動ごとに取得するCSATです。これはどのような質問を使ってどのように測定するかに決まりはありませんが、COPCでは、そのユーザー企業に対する継続的なアセスメントから、5段階評価(大変満足、満足、普通、不満、大変不満)の上位2つの評価替えられた割合(TTB%)で85%以上、最下位の評価(BB%)の割合で5%以下を優秀な組織が目指す値として設定しています。

これらの顧客体験を表す指標は、利用目的に応じて使い分ける必要があります。企業全体で達成していくNPSに対して、顧客接点の活動を担う部門においては、特にCESCSATを活用し、現状の把握や、改善すべき箇所を特定し、よりよい顧客体験の提供を常に目指してくことが必要と考えます

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