かけがえのない人

2019.10.01

「あなたにとって、“かけがえのない人”はいますか」・・・という質問をすると、家族愛、恋人、親友…といった想像をします。アメリカの映画に、同名の恋愛映画もありますね。今回はそんな恋愛に関して・・・ではなく、組織における「かけがえのない人」について、考察してみます。

まず、「かけがえのない」の意味は、「この上なく大切」「他に代わりとなるものはない」です。かけがえのない地球、かけがえのない命などの使われ方をしますよね。

では、この定義を踏まえて、あなたの組織に「かけがえのない人(≒いないと仕事が回らない人)」はいますか。

例えば、以下のような話が出ていないでしょうか。

  • このExcelで作ったツールは、〇〇さんでないと直せない。
  • センター創設期からいる、〇〇さんに聴けば、何でもわかるよ。
  • この表の作成なら、〇〇さんにお願いすればいいよ。

いかに「〇〇さん」が、組織にとって“かけがえのない人”であることが分かります。

これらの事象は、仕事(業務)が、“人”についていることを示しています。よく使われるワードで言えば「属人」です。

日本人は義務教育の時から、“ひとりひとりの頑張りが全体への貢献につながる”と教わってきていると言われています。この“頑張り”の先に、各自の創意工夫によって様々なツールが作成されている状況などが、きっと上記の「〇〇さん」を生み出しているのでしょう。

では、こんな優秀な「〇〇さん」がいることが組織にとって重要でしょうか。きっと、今この時は、〇〇さんがいなければ回りません。そんな〇〇さんが多くいれば、円滑に業務は回る。でも〇〇さんはいつまでもいてくれません。異動、定年退職、転職…。いなくなれば業務は止まります。

あるいは、〇〇さんはプライドを持って仕事をします。他の人には業務に触れさせません。「いいよ、私がやるから(私にしかできないから)」というセリフで、いつまでたっても他の人に業務を譲らない、そしてその人は去ってしまう…。

組織にとって、属人こそ危険であることは明白でしょう。そうならないためには、仕事や業務は“人”ではなく“役割(ポジション)”につけることです。組織に所属する各ポジションの役割を定義し、その役割を遂行するための育成を行う。

組織に所属する人は、皆「かけがえのない人」です。しかしその使われ方は、「この上なく大切な存在」であるべきですが、「他に代わりとなる人はいない」とならないようにしましょう。

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