「数値探索」 第6回…「ミス」を可視化する指標

 2019.11.20  菊池正倫

「指標」と「数値」を考察するコラムの第6回です。

先日、健康診断に行き、人生で初めて胃カメラを鼻から吸入しました。カメラを通じて、約40年の付き合いである自分の胃や食道を初めて見ましたが、私の心と同様に(?)とても綺麗で、ドクターから「2-3年は胃カメラしなくていいですよ」というお墨付きをもらいました。

さて健康診断を行うクリニックには、健康促進や注意喚起のポスターがたくさん貼ってあります。その中に、胸部エコーに関するクリニックの「宣伝」が書かれていました。

・担当は全員資格保有者
・最大7名による同時受付、午前中最大80名対応可能
・誤診率は2.3%

このコラムをご覧の方はご存じの通り、私はこのような数値が含まれた文章を読むと、ついつい計算したくなる性分です。午前は、8時から開始、12時までとして4時間だから、1人あたりの所要時間は…なんてことを頭で考えながら、順番待ちをしていました。 

気になったのは、誤診率。2.3%という数値は、約44名に1名となります。これは、高いのか低いのか。宣伝文句として書かれていることを考えると、きっと低いに違いない“はず”。

しかしながら、午前中最大80名という文句を考えると、自分がいる“今この時”に、1-2名の誤診をします、という宣言と同じです。不思議なもので、「50人に1人無料!」という広告を見ると、絶対に自分は当たらないだろうなと思うのですが、ネガティブな「50人に1人」は、自分が該当するのではないかと不安になるものです。

と考えていると自分の胸部エコーの順番になりました。資格を持った女性が「***ですね」と言いながら、検査してくれています。誤診かもしれない…とか不安に思いつつ、無事(?)終えました。

そして、ふと思いました。誤診率とはどのように測定するのだろうかと。少なくとも、私自身が“誤診”に気づくはずがありません。

世の中には、いわゆる“ミス”を可視化する指標がいくつもあります。歩留まり率、ミス発見率(ダブルチェック、ヒヤリハット等)、モニタリングミス率、Cpkなど。全件チェックであれば、そのまま「ミス率」として把握できますが、サンプルチェックの場合は、分母分子の考え方、サンプルの取り方がポイントになります。

また比較対象となるもの(業界標準値、ベンチマーク)も重要です。残念ながら、胸部エコーの誤診率は、WEBで検索しても探し出すことはできませんでした。つまり、2.3%は「良い」のか「悪い」のかを知る術がないのです。

皆さんが測定している「ミスを可視化する指標」は、客観的に判断できる指標になっていますか。せっかく測定する指標です、正しい測定方法にしましょう。 

次回も、指標・数値ついて触れてみたいと思います。

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