第二回 ~AIとコールセンターの関係~

2018.08.13

コールセンターとどのような関係があるか

前回はAIとは何かについて書きました。
前回のコラムを読んで思った方ももいらっしゃるかもしれません。「じゃあ、コールセンターにAIを導入するのは難しいのかな。。。」と

実際に電話やチャットでどのようにAIが活用できるのか考えてみましょう。顧客の問い合わせや要求そして感情も踏まえて回答する、とてもAI化のむずかしいところであり、そしてそれがコールセンターで最も大切なプロセスでもあります。

高い品質の対応とは

COPCでは顧客対応のクオリティを「精度」や「解決率」を重視して、測定し、そのパフォーマンスを「重大なミスの精度」として測定します。簡単にいえばオペレーター業務は正確にかつ迅速に回答することがとても大切ということです。

そして、もちろん顧客満足度も高い対応が求められます。顧客満足度調査では、総合満足度(たいへんよい、よい、ふつう、ややわるい、わるいの5段階調査)と個別の要素の満足度を調査します。個別の要素の中で、よく重要な要素として重視され調査対象となるのが、「知識や経験があるオペレーターと感じたか」「プロフェッショナルな対応をしたか」という質問です。

オペレーターの知識や経験、プロフェッショナルな感じというのは、どんな時に感じるのでしょうか。
コールセンターに電話をかけてくるお客様は、必ず会社に用事や要件があります。問合せ、注文、質問、要望などなど。どうしても幅広い知識や経験が必要なのかなと思ってしまいますが、お客様はお客様のご質問や要件に対して、正確かつ十分な内容で、迅速に回答が得られたと感じると、このオペレーターは知識や経験が豊富で、プロフェッショナルだと感じます。

少しだけ冷静に考えてみると、オペレーターはお客様に正確かつ十分、そして迅速な回答ができれば、それ以外の内容について網羅的で完全な知識をもっている必要がないとも言えます。(もちろん、複雑な手続きやケース的対応は存在し、それには高度の専門性が必要であり、依然として人間の経験が必要かもしれません。)

つまり、強いAI(汎用人工知能)でなくとも、今構築できる弱いAI(特化型人工知能)でも、高い応対精度でプロフェッショナルな対応を提供できる可能性があると考えられます。

そのためには、応対プロセス上の範囲をしぼって、どのようにAIを活用するかが重要になってきます。

例えば、チャットボットとしてAIを活用するのか、また、業務量予測の面でAIを活用するのかなど、応対に限らずコールセンターでAIを使用するアイデアは無限大にあります。

最後にAIの歴史に関して簡単に説明させていただきたいと思います。

AIの歴史

AIは最近になってからブームになったと思われがちですが、AI誕生は、1947年と古いです。アラン・チューリングさんがこの年に、AIの概念を初めて世に提唱したことがきっかけとなっています。その後、1957年~1968年に第一次AIブームが起こりました。1958年に機械学習アルゴリズムの基礎「パーセプトロン」が誕生、1965年には、英語で会話ができるプログラムELIZE(イライザ)が開発されました。(ちなみに、このELIZEはレベル1AIに該当します。)1968年~1979年は冬の時代と言われています。というのも1968年に「パーセプトロン」の限界が証明、1969年にフレーム問題が指摘されたからです。(まだ、フレーム問題については解決されておらず、これが汎用型のAIを作成するポイントとされています。

1980年~1988年第2次AIブームが到来。この時代の一番大きな事柄として、1985年にニューラルネットワークのバックプロパゲーション(誤差逆伝播法)が広く用いられるようになりました。
そこから、1989年~2011年とAI関連の技術は停滞してしまいます。
しかし、2012年に画像コンペであるILSVRCにて、ディープラーニングを用いたシステム、「Super Vision」が圧勝します。
2011年までは、正解率7374%の戦いが続いていましたが、2012Super Visionは正解率84.685%2位と10%以上の差をつけて勝利しました。2015年には正解率96.433%になり、人間の正解率95%といわれていますので、人間を上回ったことになります。
ここから、2016年の、囲碁のトッププロを倒したAlphaGOの登場などでAIに注目が集まるようになりました。

なぜ、つらつらと歴史について書いたかというとSuper Vision画像認識の正解率です。

COPC CX規格のハイパフォーマンスベンチマークデータを思い出しました。顧客に関する重大なミスにおける精度は95%がベンチマークです。いつかAIによる重大なミスの精度もこの95%を上回ることができるような気がします。きっと近い将来、FAQや効果的なセールス提案などに関しては、人間を上回り、コールセンターの対応を大きく支援してくれることになると思います。

次回以降では、AIの活用事例紹介や、より詳しいAIの仕組みについて書いていきたいと思います。ご期待ください。

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